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2/6染屋町寄席 第293回

 投稿者:まゆ  投稿日:2009年 2月23日(月)00時40分0秒
  代休かつ京都で用事があり、用事の続きについでに行けるもんなら行かねばならぬ。ということで。この場所になってからは初めて。最初で最後と思うけど。昨今流行りのいわゆる「町屋を改造して店舗にした」ところ。

二乗さん、いつの間にか衣装が増えましたね〜。初舞台で絶句したという枕、いましたがな、そん時。ところどころ笑えるところはあったものの、リズムと間がイマイチでいつもの二乗さんらしくない印象を受けた。

今日は環境問題特集で、これはそれにちなんだ新作だとか。惑星を擬人化して展開していく噺。「星が大阪弁しゃべりますけどついて来てくださいねー」と米二さん。地球が病気になって病院に行き、医者のビッグバン先生の問診を受ける。その問答が人間の病気と地球の環境問題とうまくリンクさせたあり、おもしろい。最後の方はちょと説明すぎて説教臭さを感じさせるが云うてることはまったくそのとおりで、真面目に聴いてしまった。
ちなみに羽織の裏が三升を千鳥に並べた柄でオシャレ。

しん吉さん久しぶりかも。初めてこの会に出た時は内弟子修業中で、一人で阪急電車に乗れたことがとても嬉しかったとか。「阪急電車に」というんがしん吉さんらしくて笑ってしまう。電車好きなんです、ということで、梅團治さんとの二人会のこととか電車関係の枕で盛り上がり、乗り物系ネタかと思わせておいて、趣味つながりお酒の噺『親子酒』。このネタも久しぶりだ。宗助さん最近やってはらへんもんな。
しん吉さんのはほぼ一言一句クスグリまで宗助さんとソックリ、プラスしん吉さんテイストで。ねむたいお父さんが見台で頭ぶつけたり、「我が家一のベッピンさん」と云われて「うちに女はわたしだけでっしゃがいな!」とツッコむおかみさんが可笑しかった。

二席目も環境問題特集、ケチや始末はエコにつながる、と。枕で「始末」という言葉は現代では人を殺める時に使う言葉と思われているとかいないとか(アイツを始末せえ、とかね)、ホンマかなぁ?エピソードてんこ盛りフルコースで、でも長たらしく感じさせない。師匠クラスの人がやる前座ネタを聴く贅沢さ、どこがどうというわけではなく奇抜なクスグリもないんだけど、どこか可笑しくて満足させられる。
またしても羽織の裏が珍しい、浮世絵風の女の首絵がギッシリ描かれたもの。

この会場は三条衣棚にある。衣棚といえば『はてなの茶碗』の茶金さん。茶金さんててっきり清水さんの近くに住んではるんだと思っていたけど、こんなところに店を構えてはったのね。お茶だけを飲みに行ったんではないだろうけど、えらい遠出してはったんやなぁ。
これがわかっただけでも来た甲斐があった?

『阿弥陀池』 桂 二乗
『病気のガイヤ』 桂 米二
『親子酒』 桂 しん吉
『始末の極意』 桂 米二
 

壽初春大歌舞伎 at 歌舞伎座

 投稿者:まゆ  投稿日:2009年 2月23日(月)00時33分57秒
  去年は慎んだけど、今年はまた復活。なんといっても「さよなら歌舞伎座」だから、この14ヶ月はラインナップも相当手ごわいと思われる。初心者にはスタンダードを極める格好の機会。行くで〜。
と云っても1月は出費が多いので昼夜三等。傾斜を思えばかえって見やすい?

『祝初春式三番叟(いわうはるしきさんばそう)』
翁:富十郎、三番叟:梅玉、千歳:松緑、菊之助。構成は能の『翁』と同じ、雰囲気も文楽と違いかなり厳か。特別の興行で公演される演目とか。「特別」とか「格調高い」でお能を意識しているところに歌舞伎の「能楽コンプレックス」を感じるのだけど。
つけないのに翁の前に面箱が置かれる。ぽつん。富じいの翁、少ない動きに神事らしさが。ひとしきり舞って一人退場。
すると背景の松羽目が鶴の絵に変わり、三番叟が踊りだす。「婚礼が〜」と唄われているけど、テーマ変わったん?派手で豪快な動きは『翁』の三番叟も同じだけれど、二人の千歳も加わって、鈴をシャンシャンやって舞い納め。前半とうって変わってこの辺はやっぱ歌舞伎らしい。能に倣ってはいるものの、長唄が入って華やかなのも歌舞伎ならではだなぁ。

『平家女護島〜俊寛』
俊寛:幸四郎、千鳥:芝雀、成経:染五郎、康頼:歌六、瀬尾:彦三郎、丹左衛門:梅玉と、上方勢でしか観たことがない私には梅玉さん以外は初顔合わせ。芝雀さんの千鳥もあったかな?
役者だけでなく、演出や道具が上方のとは違い、その辺の違いが興味深い。例えば近づいてくる船を発見した4人は一旦舞台から消える。とホリゾントの背景に沿って小さい船の書割が舞台を横切り、客席の方角から来た船が上手に着く態。船が去って花道にも波布が敷かれるけど俊寛はそこまで行かない(ので、当然アレもなし)で、すぐに岩によじ登っていく(そして滑りもせず一気に駆け上がる)。とかとか。
ドコソコ家の型、とかいう違いなんでしょうか?時間の都合でスッキリ、とか?

幸四郎さん、えらい老けた俊寛僧都。飢えと疲れでヨロヨロというより老体故という雰囲気。そのくせ肴に舞を舞ってこけるところが派手にすってんころりで思わずぷっ(他の人笑ってないってことは、ここは大胆に転げるもんなのか?)。我先に上使の前に飛び出したりかなりアグレッシブというか自分本位でイヤな性格のように見える反面、下船して千鳥を代わりに乗せようとするくだりは情に溢れる親心を感じさせる。またクライマックスの船を見送るところはどうもサッパリしてみえ、万感の想いが感じられなかった。
一方、千鳥の芝雀さんがめちゃよかった。何度もされてるんでしょう、堂に入っている感あり。田舎娘故の大胆さと可憐さ、成経と離れて生きていけないっちゅう想いが伝わってきたし、ひとり残されてのクドキには思わずほろほろ。遠くからだと顔の大きさも気にならないしね←しつこい。

上方ってやっぱ濃厚なんかね?丸本への意識も強いような気もするし。

『花街模様薊色縫〜十六夜清心(さともようあざみのいろぬい いざよいせいしん)』
清心が改悪する前半のところ。清心:菊五郎、十六夜:時蔵、俳諧師白蓮:吉右衛門、恋塚求女:梅枝。
前半の腑抜けた感じは菊五郎さんならではという感じで、こんなヤツなら女に迷ってひょろひょろしてもおかしくない。「しかし、まてよ」からはついニヤニヤ。こんなん観ると菊五郎丈もいいよねと思う。おいたしなければ嫌いじゃないのだ。あと脱がなければね。
登場シーンは短いながら、さりげなくイキでカッコいい吉右衛門の白蓮がハマってて惚れ惚れ。後半も観たいなぁ。後半といえば、時蔵さんもきっとええ感じに悪くなってるんだろうなー。
そしてそしてオバチャン贔屓の梅枝くん、間違い起こしたくなるような匂いは若さ故?

『鷺娘』
玉三郎自己陶酔の世界。特に最後の鷺娘がだんだん弱って息絶える場面はもう完全にトランス状態。長いっ。しかし、いっぺんは観ておくべきでしょうなぁ。なんて。
引き抜きぶっかえりと見どころも多く、短いながら歌舞伎舞踊らしさを満喫できる作品。


夜の部
夜の部は後ろの席の傍若無人で自分勝手な客に頭が邪魔だのなんだの文句云われたのが気になってあまり集中できなかった。

『壽曽我対面(ことぶきそがのたいめん)』
南座や松竹座の小さい舞台ではせせこましいが、やっぱ歌舞伎座で観ると広々として豪華さもひときわ。くやしいけど、役者が揃っている歌舞伎座だからこそできるって感じの演目。上方じゃ顔見世か襲名披露じゃないと人集まらないもんね。お正月で曽我物で、お江戸らしさ満喫。悪くないけど吉右衛門さんが五郎というのはなんとなく、違和感。どっちかというと工藤が見たいなぁ。
五郎:吉右衛門、十郎:菊五郎、工藤祐経:幸四郎、舞鶴:魁春、化粧坂少将:菊之助、大磯の虎:芝雀、鬼王:梅玉。

『春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)』
勘三郎さんのこれは去年だか一昨年だかのお正月もたしか、NHKの中継で。前シテは優雅でたおやかで可愛い。一転、毛振りの豪快さには旋回する毛束をただただ眺めるばかり。必死さがみえないのが手馴れ故か。長唄が聴き取れたらもっとおもしろいんだろうけど、石橋モノは前後の違いを観るだけでもワクワクできる。勘三郎さんて立役なのに道成寺とかこんなんとかもできて凄いなぁ。
胡蝶の精で千之助くん、お父さんもおじいちゃんもおじさんたちもみんな大阪で一人歌舞伎座に出演なのね。何につけ小さいお子たちの達者ぶりは目を見張るものがあるなぁ。

『鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)』
今回東下り第一の目的はこれ。三島由紀夫作の新作歌舞伎。メンツは平成中村座のメンバーに玉三郎と染五郎が加わった態。これもおなじみの演目らしいが、こっちじゃやんないんだもん。
遊女が実はお姫様で昔聞いた鰯売りの売声が忘れられず鰯売りに惚れる、鰯売りは高級遊女に惚れて大尽のフリしてお茶屋に行き寝言で正体がバレそうになるが実は、、、、、なんとも奇抜なお話。最後の展開は『幾代餅』みたい。けったいなんだけど、登場人物がみんな真面目でいい人で、少々ファンタジックな感じがおもしろかった。三島由紀夫ってこんなんも書きはるんや。ドタバタになりそうなところをお上品にまとめられている。ストーリー全体に漂うおっとりとした雰囲気は『廓文章』の吉田屋に通じるような。単純にハッピーエンドなのもいい。
博労の染さんが意外やハマってて、この人は二枚目よりこーいうヨゴレの方が好きかも。新感線の二枚目だけど三枚目に洗脳されたか?
鰯売りの猿源氏が素性をごまかすために語るあれこれは、『薮原検校』でも似たようなことをやっていたっけ。

いわしこ〜え〜(笑)。
 

1/31千朝落語を聴く会 第50回

 投稿者:まゆ  投稿日:2009年 2月23日(月)00時18分51秒
  またしてもプログラム足らず。毎回多いんだから、いーかげん目測立てなさい。ぷんすか。

まん我さんを見て、先月松竹座で観た『義経千本桜〜鳥居前』の薪車さん演じる弁慶を思い出す。あの顔の下半分真っ青の大胆な化粧、剃り跡青々とまではいかないけれど、でも。随所がオリジナルなのか、他のスタンダード版と違うところもあり全体的にやや新鮮な感じ。

懐メロ番組が好きで、と「さくらと一郎」のさくらが昔と変わらぬ高い声で感心したという枕で爆笑。貧しさに負けたいいえ世間に負けた、、、、ナゼに私は知っている?とんとんと同じトーンで「ウナギの茶漬け〜」までのテンポの良さが心地いい。

都丸さんの『試し酒』は聴いたことがないので楽しみにしてた。1杯目は一気に、口元を見ている視線が時々上を向いて酒の残りを確かめているのが細かい。味わってと云われて2杯目はしゃべりながら、武蔵野や酒のうんちくを交えて。3杯目は都都逸を唄いながら。4杯目は近江屋の旦さんがしゃべっている間に、5杯目は一気に行くと云いつつ休み休みにグッと飲み干す。フリとはいえお見事な飲みっぷりに感心。権助の朴訥さと淡々と飲む様が相まって、いい。
『試し酒』って本来はサゲのことを指しているんだろうけど、サゲを聴くまでは今現在飲んでいる状態(5升飲めるかを試している)を指しているとも取れる。タイトルに深い意味はないはずだけど、勘ぐると二重構造でおもしろいなと思った。

最後は『景清』、久しぶりに聴く。最後に聴いたのは出丸さんだったかな?
定次郎が甚兵衛はんに本心を吐露するところ、縞もんの着物のくだり、かなりボロボロさせられた。定はんの気持ちが突き刺さるように痛く、切ない。サゲは3人でお礼参りに行きました、とメデタシオチ。このパターンは初聴き。ええ話を聴いたような気分の余韻とともに追い出し。

『子ほめ』 桂 まん我
『軒付け』 桂 千朝
『試し酒』 桂 都丸
『景清』 桂 千朝
 

1/27旭堂南海の何回続く会? 第238回

 投稿者:まゆ  投稿日:2009年 2月14日(土)12時57分14秒
  二転三転の末に行けることになった1年半ぶりくらいの続く会、勇み立つのは、だってお外題が「真田昌幸」だから。
案内には「前編」とあったけど、当然ながらムリでした。サブタイトルが「昌幸の初陣」とあったけど、昌幸のまの字も出てこなかったのは、講談の常としてお父さんの話から始まったから。
しかしここでもまた、ふふふ。お父さんといえば真田弾正幸隆、モロ『風林火山』の世界とバッティングするのだから。
もちろん信玄公も勘助も出てくる。が、主軸は真田家だからか信玄公がややアホキャラというか、スグ怒るし思慮に欠けるおよそ大将らしからぬ器なのが気になる。
『風林火山』とは話の運びや設定がやや異なるので、その度に記憶と想像を軌道修正せねばならないが、いろいろ思い出しつつそれもまた楽しい作業。
砥石崩れのくだりまでで今回は終わり。次回は「両雄死す」のあたりの話になるのかな?見ん事村上軍を蹴散らしてくれい。

途中大河ドラマ『天地人』のネタも交え、おもしろおかしい脱線も南海さんならではで楽しい。長澤まさみは真田家の息女なんだってさ。代々真田家の女は忍びの心得があるとか。あ、板垣の名前も出てきたぞ。千葉真一が〜だって←喜ぶな。

『真田三代記』にするお覚悟を決められた様子、全部で何回になるかなぁ?毎回行かねばならんじゃないかぁ。どおしよう。

『真田安房守昌幸』
 

1/21まるまる出丸の会 第109回

 投稿者:まゆ  投稿日:2009年 2月14日(土)12時54分36秒
  『明石飛脚』、そういえば吉朝さんで聴いたことがある。そーんなにオモンナイ噺ではなかったと思うし、終わると見せかけて終わらない趣向もこういう会ではオッケーなんではと思う。考えてみると八天さんの『わあわあいうております(田中 哲弥作)』ってこれと同じ手法やってんね。あれはホンマに一回ずつ降りてはったけど。
出丸さんより伸ばすよう指令が出ているとかで枕長め。ひと段落つく度に、これをネタに続きをやるという。可笑しいのは、手紙は懐に入れてるハズなのに、あの棒を担ぐカッコで走っていること。さらには、「どっこいさのさ」の度にいちいち担ぎなおしはる。クセなんだろうね。

もうお正月でもないけど、季節ネタ『正月丁稚』。久しぶりにかなりスレスレ綱渡り、かなり端折り気味で、かえってテンポよくいったんでは。アヤしいながらも全体の雰囲気はちゃんと伝わってくるところがなかなか。そしてデンジャラス枕がおもしろかった。やっぱそうなのね〜。

「爆笑賞」への愚痴をさんざんぶちまける文華さん、悪いけど、めちゃ可笑しい。こちらも出丸さんよりひっぱるよう指令が。ぐーたら男の退廃的な感じと、おねだり上手なキャラが可笑しくって。「へてなぁ、、、、」が出るたび笑いを誘う。タバコの無心のくだりでホンネの愚痴が出るのがまたまた。随所にそーいうコネタがちりばめられ、常連さんだらけというこの会ならではのクスグリとも云えるかも。

先ほどからの指令のワケは、『住吉駕篭』のラストがおもしろくないのでサゲまでやらないことにしたけど、そうすると時間が短くなるから。こちらもかなり危ないようでアヤしい箇所があちこちに、といってもケンカ?口調のところはなめらかなんが可笑しい。やっぱ勢いって大切なのね。

反応を肌で感じてやってて落ち込んでくるのはしょうがないけど、自らケツ割ってマイナス要素を口にするのはNGだと思う。云われることで客席もアカンのね、とつられてしまってどんどん悪くなっていくだけ。そんなん云うんやったら金返せ云われてもしゃあないよってなってどうすんのん、とか、なるやん。その日の満足度を決めるのは客であり、出来不出来と良し悪しは別モンだと思う。
今日はアウトやったかぁと思いつつ、あんなにウロきてるのに止まらずしゃべり続けられるのってスゴイ、とか思ってんのに。
今日だけが取り立ててあかんかったとも思えないけど、魔が差す日もあるんだなぁ。ちょとね、客に甘えてはるところがなきにしもあらず、という気もするのが気になるかも。おもろいのにうまいのに、勿体ない。

『明石飛脚』 桂 ちょうば
『正月丁稚』 桂 出丸
『打飼盗人』 桂 文華
『住吉駕篭』 桂 出丸
 

1/18二人のビッグショー 柳亭 市馬、柳家 喬太郎 二人会 Vol.9

 投稿者:まゆ  投稿日:2009年 2月14日(土)12時52分38秒
  今回の開口一番は吉坊さん。出囃子が「石段」でなかった。Why?出だしの屋台の描写もわからんながらも丁寧で、祭の様子がうかがえる。もぎとりは大イタチと取ったり見たりの2つで、サゲは「軽業中が痛い」。早口の口上も流暢で、まことにけっこうなものをいただきました、という感じ。

まずは市馬さん。出だしは『つる』のようで、でも全然違う噺だった。初聴き。賛、詩、語、(6)、七福神、(8)、句、うまいこと考えたあるなぁと思わず感心。とりたててこうというところはないものの、やはりどことなく可笑しくて、江戸っ子弁が耳に心地いい。東京の小品を聴く機会もあまりないからそれも嬉しい。

で、喬太郎さん。忠臣蔵のキャスティングを役者と噺家で誰がいいとかで、ひとしきり湧かせておいて、時代劇つがなり?で始まったのが『怪談牡丹燈籠』の発端。基本シリアス路線ながらそこはそれ、笑いどころも随所に。酔っ払いの浪人と怒りを抑えて静かにひたすら謝る若侍の声がカッコいい。キョンキョンの意外な一面(笑)。

続いて中入後も喬太郎さん、季節ネタ『初天神』。こましゃくれた子どものあの手この手の科白としゃべり方がもうキモチワルイのなんので大爆笑。おっさんいくつやーと云いたくなるほど、駄々のこね方が上手い。時々大人びたこと云うんだけど、こんな子いるいる〜というリアルさが怖面白い。この辺のエキセントリックさは新作派の雄ならではなんだろうか。上方にはないキャラだと思う。みたらしの蜜の舐め方もすごくて、団子と団子の間のくぼみも丁寧にじゅるじゅる、もう、何から何までスゴイ。道中人だかりに出くわし、それが『牡丹燈籠』での騒ぎだったりクスグリも楽しい。
ところで出囃子が宗助さんのと同じに聴こえたけど、、、、どおなの?

トリは市馬さん。あんな(笑)『初天神』の後でもまったくカンケーなし、シュッと粋な江戸の世界へ連れてってくれる。前に別の人で聴いたことがある『富久』。あんまり湿っぽくないのがいい。江戸時代の人付き合いの機微がじわーっとくる噺。

次回も行かねば、誰もがそう思うから動員がどんどん増えて昼夜二回公演になったりしてるんだろうね。右に同じだ。

『軽業』 桂 吉坊
『一目上がり』 柳亭 市馬
『本郷刀屋』 柳家 喬太郎
『初天神』 柳家 喬太郎
『富久』 柳亭 市馬
 

壽初春大歌舞伎 夜の部 at 大阪松竹座

 投稿者:まゆ  投稿日:2009年 2月14日(土)12時50分9秒
  今まで数回しか上演されてなく、上方では77年ぶりの復活狂言とか。四世南北の仇討モノ。
悪人が主人公で、その冷徹非道ぶりとニヒルさにともかく魅了されずにはいられない。仇とつけ狙う相手を卑怯な手で次々惨殺していき、ずぶりと止めを刺してニヤリ。虫の息の女を足に掛け、グリグリ刀でいたぶりながら殺した人数を指折り数える。残虐なシーンなのになんともカッコいい。まあ、なんつっても仁左衛門やからね。
ストーリーがしっかりしている上に通しだから、内容がよくわかる。初めて観るからかもしれないけどそれぞれのキャラと役者がハマっているのもいい。
そして復活狂言のおもしろさといえば、あちらこちらの場面や美術に演出がどこかで観たような、パロディではないんだけど、別の芝居を彷彿させること。仇討モノであったり霊験記モノであったり、戯作者が一緒だったりして似ているのは当たり前なのかもしれないけど、そんなふとしたことが楽しかったりする。観方としては邪道かもしれないけどね。

一番の山場は2幕目の最後、焼場の場。
仁左衛門二役の八郎兵衛は実はここの火の番で、棺桶に付き添ってきた扇雀さん扮するおつまと鉢合わせになって立ち回り、女を殺るつもりが窮鼠猫をかむで井戸にまっさかさま(←すげえ)。と、焼けた棺桶の箍が外れて中から水右衛門(棺桶に匿われていたのがホンモノと間違えられて焼かれていたのだった、、、、、って『らくだ』やん)登場の早替わり。ここでの八郎兵衛は姿といいシチュエーションといい団七ソックリで、仁左サマで夏祭もいいなぁとかなんとか思ったり。

今回、扇雀さんがけっこう良くて、昼の部との格差はまるで別人のよう。このあと駆け付けた秀太郎さん扮する女将を乱闘の末に殺してしまうが、復活した水右衛門になぶり殺しにされる。白地の浴衣が濡れて赤い湯文字がほんのり透けて見えるのが色っぽく、凄惨なシーンに拍車をかける。
ちなみにおなかにはラブリン扮する源之丞の種を宿しており、、、、ようするに下男(ラブリン二役)の妹(お松:孝太郎)をつまみ食いしちゃって子供こさえて、敵討の探索と称して廓に出入りしてるかと思いきや芸者も食っちゃって、さらに女将にまで誤解されるような態度を取ってるサイテーな男なのだ、源之丞はっ。
そんなんで、元々二役な上に町人に化けたりおこもに化けたり今回もラブリンは八面六臂の多彩な役作り。下男袖助のカッコを見てると、七段目の平右衛門もいけそうな気がする。
見せ場の多い達者な子役、美吉屋と声が掛かるこの子は「みよし会」に出ている吉太郎くん。吉弥さんとの関係は?謎。

中幕と称して二幕と三幕の間に藤十郎のおめでたい舞踊。間狂言みたいなもんか、それともふれる役がなかったからとか。ドロドロした南北モノと美しい祝舞踊という取り合わせが妙だけど、まあ露払いということで目の保養になりました。


どれも見どころ満載ではあるんだけど、いちばん可笑しかったのは、源之丞がもうすぐ仇討の旅に出ないといけないってんで、内縁の妻であるお松にいいよる場面。いい雰囲気になってあわや濡場、というところで寝ていた赤ん坊がおぎゃあおぎゃあおぎゃあ。これを観ながら頭をよぎったのは

「ボインはぁ〜赤ちゃんのためにあるんやで〜、お父ちゃんのためにあるんと違うんやで〜♪」

通し狂言『霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)〜亀山の仇討』
序幕 甲州石和宿棒鼻の場より播州明石網町機屋の場まで
二幕目 駿州弥勒町丹波屋の場より同中島村焼場の場まで
中幕 春寿松萬歳
三幕目 播州明石機屋の場
四幕目 江州馬渕縄手の場
大詰 勢州亀山祭敵討の場
 

壽初春大歌舞伎 昼の部 at 大阪松竹座

 投稿者:まゆ  投稿日:2009年 2月14日(土)12時45分19秒
  今春は上方勢揃いプラスなぜか段四郎さん。注目はやっぱり夜の部か。

『義経千本桜〜鳥居前』
浪花花形のメンバーによる配役、狐忠信:翫雀、義経:ラブリン、静御前:孝太郎、弁慶:薪車。
歌舞伎の「鳥居前」は初めて観るからスタンダードなのかどうか知らないけど、薪車さんのメイクが顔半分青々としたヒゲ痕色で衣装もどことなく磯臭いというか妙というかで、ゴメンナサイちょと笑える。子どもみたいに泣くし、別の意味でインパクト大。早見藤太の松之助さんがさすがベテランさんだから手馴れてはるし、存在感もあるし、チャリの可笑しさ充分でおもしろかった。
翫雀さんは初役だそうで、見かけは狐というより狸なんだけど、荒事だから雰囲気は伝わる。狐六方も楽しそうで?よろしいんでは。

『良弁杉由来(ろうべんすぎのゆらい)〜二月堂』
ほのかに鼻をくすぐるお香の匂い。上手に焚き染められたお香の煙がみえる。奥行きが感じられるセット、二月堂の2階奥からぞろぞろ僧が歩いてくる様に荘厳な空気が感じられる。
みすぼらしい老婆の述懐、もうすぐもうすぐ、もうすぐで親子とわかるっと思うと緊張しつつ睫毛も湿ってくる。よく観ると我當さんも秀太郎さんも目に涙が。特に我當さんは目の渕が赤いから血の涙。それはさておき、二人の大熱演に心が洗われまするな。にっこり微笑む幼子のような渚の方の表情が印象的。
二人が駆け寄り抱き合う場面、普通は良弁(男)が立って渚の方(女)が跪いて、と思うところがここでは逆。覆いかぶさるように抱きしめるのが母親の愛なのね。とかなんとか思ったりして。短いけど印象に残るええお芝居でした。

『廓文章(くるわぶんしょう)〜吉田屋』
なんなんでしょう。扇雀さんは和事に向いていないんでしょうか。観た時は特に咽の調子がよくないようで科白がひどかったのもあるけど、動きとか全体的にザツだし、あんまし品が感じられない。伊左衛門に限らず歌舞伎は品がないとダメだと思うので、そう見えないのはどうなんだろうなぁ。今月文楽でも出ているけど、人形の方がずっと良かった。色気とかわいさがあって。。。。。がんばってくれぇ扇雀さん。
藤十郎さんの夕霧、たおやかさとかわいさはさすが御大。段四郎さんと竹三郎さんの喜左衛門夫婦でもって場が締まってみえる。一人暴走気味の扇雀さんに心なしか段四郎さんが当惑顔のような。無銭遊戯のハズなのに丁重なおもてなしに親心を感じる。いや、接客のプロフェッショナルの心意気か。なんてね。

『お祭り』
いろいろバージョンがあるのか、お家によってやり方が違うのか、観るたびに違う内容に思えるのだけど。
仁左孝親子によるお祭りは、ひたすらラブラブな鳶頭と芸者に若いもんがケンカを仕掛ける様が楽しい。
ともかくおっさんがさわやか!終始にっこりともニヤニヤともつかない笑みを浮かべて芸者とじゃらついたり、若いもんを簡単にあしらったり。
一方の芸者、もうホンマにどうしたんと云いたいほど孝太郎さんが色っぽい。粋な芸者のちょっとさわやかな色気と可愛さが表情から身体から感じられる。多少贔屓目入っているかもしれないけど、仁左衛門相手に拮抗しているとまで云っちゃうよ?
所狭しと飛び跳ねまくる若い人たちのパフォーマンスも目の保養、楽しい楽しい。ともかくご陽気で晴れ晴れとした心持ちになれる追い出しの一幕。
 

1/4新春能 at 大槻能楽堂

 投稿者:まゆ  投稿日:2009年 2月14日(土)12時41分37秒
  正月恒例3年目の新春能。値上がりの上に全席指定、行ったら残席2席で柱対角線上いっちゃん後ろ。まったくまったく。
連日の寝不足で舟漕ぐかと思ったけど、頭冴え冴え最後までスッキリ。

能『翁』
翁は大槻文蔵さん、張り詰めた空気が清々しい。歩く時上半身がまったくブレないのがすごいなぁ。
千歳は「船弁慶三体」の会で義経をやっていた男の子、何故に子ども。
見覚えあると思った三番叟は野村萬斎と後でプログラムを見て発覚。時折攻撃的とすら思える激しい舞がおもしろかった。かがんで鈴をシャンシャンするのは舞台を清めているのか?

狂言『文蔵』
主人に野村万作さん。
座って『源平盛衰記』を読み続ける話で、笑いどころも少なくあんましおもしろくなかった。と云いつつも聴き入ってしまうのは芸の力?
太郎冠者がよそ様宅でよばれてきたごはんの名前が思い出せず、『源平盛衰記』に出てくると云うもんだから、主人が朗読して名前を思い出させようとする。主人に延々と読ませるツワモノの太郎冠者。
『蔵丁稚』のええとこなんやけどごはん〜の場面みたく、とうとうと語りまくっておいて突然、「ここまでに入ってたか?」と素に戻るんが笑える。けっきょく「文蔵」という名前にたどり着くのだけど、ホントはちょと違う名前で、それがオチ。狂言もいろんな話があるんだねぇ。

能『草紙洗小町』
事前にプログラムを見たせいもあるけど、お話自体がわかりやすかったのと鼓の掛声や謡の合唱?が少なかったので、珍しや詞章が聞き取れ理解促進。出だしとか、こっちの方が狂言ぽかった。
大伴黒主が小野小町と歌合戦をするのにズルしてバレて恥じ入って自害しようとするところへ小野小町が「歌に熱心なあまりの行為」と許してくれる教育テレビの道徳みたいな話。お外題は「小町が草紙を洗う」から。まんまや。大伴黒主が小野小町の歌を万葉集に書き足して古歌にしたてたのだけど最近書いたものだから紙を洗うと流れて消えてしまって事が露見するのだ。
お能にしては珍しいパターンでおもしろかった。
 

初春文楽

 投稿者:まゆ  投稿日:2009年 2月14日(土)12時38分21秒
  1時間寝坊して、それでも15分遅れで到着するともちろん挨拶は終わってた。年々長くなる列に並び、枡はムリかなと危ぶんでいたがなんとかもらえてヨカッタヨカッタ。

『花競四季寿〜万才、海女、関寺小町、鷺娘』
文雀さんの関寺小町で至福の芸を堪能。あわれさが際立つ。その前の海女も遣ってはって、そっちは可愛くて大蛸もご愛嬌のおもしろさ。
鷺娘は清十郎さん、引抜きにぶっかえりと華々しく最後のキメも大胆な動きで、歌舞伎舞踊の鷺娘とは違う景事ものの趣が。

『増補忠臣蔵〜本蔵下屋敷の段』
これは初めて文楽を観に来た時に出てた演目だ。本蔵が山科に向かう直前のお話。本蔵って藩主でもないのに下屋敷を持っているのね。
後が津駒大夫さんと寛治さん。11月の時もそうだったけど、今回も津駒さんは以前のような力みが感じられずよかったと思う。どっちがいいのかはしらないけど。

『夕霧 伊左衛門曲輪[文章]〜吉田屋の段』
ともかく伊左衛門の色気とかわいさにノックダウン。だって勘十郎さんに嶋大夫さん。待ち焦がれていたクセに、スネておこたに突っ伏してあっち向いて、寄ってこられるとおこたごと逆の方に移動したり。夕霧もつれなくされてマジ泣きしてしまう、大評判の人気太夫とは思えないおぼこ娘のような可愛さ(7つになる子供がいるとは驚き)。そんな二人のじゃらじゃらしたやりとりはただただ楽しく、突然なんやねーんなラストも単純にめでたいと思える。
これ観てたら仁左衛門の伊佐衛門が観たくなった。

歌舞伎と違うところでは、吉田屋の軒先がわりと長めで、店の人たちが餅つきしている。餅をひっくり返したり突く度に付けてある粉が飛んでさながら湯気が上がっているかのよう。タイミングが合わなくて手を突いて痛ったー、とか小ネタもある楽しいお正月の一場面。咲甫さんがよかった。
もひとつ違うところはお外題。文楽は曲輪で二文字使うからお得意の無理やりくっつけ漢字「文章」は一文字。歌舞伎は郭だから普通に文章。曲輪[文章]と廓文章。
今回も歌舞伎とダブルヘッダーだから、二倍楽しめるというもの。


第二部
『新版歌祭文〜座摩社の段、野崎村の段、油屋の段』
座摩社の段、油屋の段は初めて観る。野崎つながりで、プログラムには春團治師匠のコメントが。

「座摩社の段」で久松を陥れるための布石がわかる。
途中、誰もいない八卦見の小屋で一休みしていくお染久松。中をのぞいた八卦見が慌てふためくところを見ると、この二人はやはりおませさんであるということでんなぁ(←おっさん)、なんて。

玉女さんに久松はあっているのかいないのか、ちょっと存在感が薄い。まあ、周りが濃いんかもしれんけど。
「野崎村の段」は今までに歌舞伎→素浄瑠璃ときて、今回人形浄瑠璃で初鑑賞。
おみつが切っている大根はたぶんホンモノ。頭の部分をほかすなっ。箒を立てかけたり戸をぴっしゃり閉めたりお染への対抗心剥き出しのところは素朴なかわいさがあり、親爺の頭に火をつける微笑ましい?シーンもあり。頭に三里はないぞえ〜(笑)。それが髪を下ろしてからは一転いじらしいやら切ないやら、急に大人になった感じがする。母親を想う心情にもきゅんとなる。
こんなおみつの姿心情を観ているからか、どうもお染に感情移入はしにくい。特にここではワガママなお嬢さんにしか見えないこともあり。しかーし、清十郎さんが遣うお染はかわいくてちょと好感。
そしてそして、いよいよ陸と船に別れてお染久松が帰るシーン、それまでの切ない気分とはうらはらに思わず心が躍る。だって「野崎」のツレ弾き。

チャリ系番頭小助を遣うのが勘十郎さんで、最初はこんな端役で?と思ってたけど、どの物語にもいる勘違い野郎は思った以上に悪いヤツで、かなり大活躍でおもろかった。
金を飯椀の中に隠して食うの食わさぬのとやり取りするから通称「飯椀」、いやその通りなんだけど、文楽のこーいうののセンスは独特だよなぁ。何もかも飲み込んで上手く立ち回るお染の母と久松のお乳母どんの親心が泣かす。

たんなる若いカップルの心中モノかと思いきや、お家騒動も絡んだ実は大層な物語だった。通しで観て初めて分かる奥の深さよ。
 

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