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「パンダフルライフ」

 投稿者:まゆ  投稿日:2008年 9月30日(火)02時24分39秒
  成都大熊猫繁殖センターと南紀白浜アドベンチャーワールドでのロケを中心にしたパンダ尽くしのドキュメント映画。
成都での子パンダの大群が動き回る姿は鼻血モノの可愛さ。しかも去年成都に旅立ったアドベンチャーワールドの双子ちゃん隆浜と秋浜のあっちでの様子が知れるという、パンダ好き垂涎の場面あり。
菅野美穂のナレーション、説明や解説の時はいいんだけど、パンダなりきりモノローグや呼びかけ科白は甘すぎて食傷。童心を忘れたオバサンには少々ウザかった。
観てほのぼのうるうるしっぱなしの約2時間だけど、ただカワイイカワイイを追うだけじゃなく、酸いも甘いもパンダの生態がちゃんとわかるようになっていて、知られざる姿を知ることができる。生まれた時からずっと一緒でめちゃ仲が良かった隆浜と秋浜が、大人になる兆候として本イキのケンカをするようになり別々にされるくだりは、成長過程とはいえちょと切ない。

延々癒し系シーンでも飽きはしないだろうけど、寝てばっか食べてばっかと思われるパンダでも、こうして1年つぶさに追った記録は、エフェクトなしで充分ドラマティックで作品になり得るのだ。
何に寄らず生き物の一生ねんから、劇的でなかろうはずないんだよな。
 

花組芝居「怪談牡丹燈籠」

 投稿者:まゆ  投稿日:2008年 9月30日(火)02時22分25秒
  去年歌舞伎座で半通しを、7月に正雀さんで『関口屋のゆすり』を聞いたのが記憶に新しい、云わずと知れた圓朝作の怪談噺。
チラシにあるあらすじには孝助という見知らぬ名前、敵討がどうのというがそんな話は知らない。さてさて。
十数年ぶりに新神戸オリエンタル劇場。うちからは遠いけどアクセスは便利で迷子になる心配はないし、ちっちゃいので2階席でも充分よく見える。

原作の速記をベースにしたということで、芝居では省略される敵討のくだりと芝居でのメインお峰伴蔵/お国源次郎/お露新三郎の二本柱で構成されており、二つの物語が交互に展開される。二つといっても最終的には一つなんだけど。そして、この孝助の話があることによって、『関口屋のゆすり』の辻褄もわかってメデタシメデタシ。って、私はね。
ただ、「仮名手本〜」同様2時間半にまとめるには無理があるボリューム、話を知ってりゃこそついて行ける向きも。
前回の感触では、花組ファン=歌舞伎好き、ってわけでもなさそうで、歌舞伎(のネタ)を知らない人も多い様子。尤も、好きでも観ていない場合もあるからあまり関係ないが、ともかくサラでどこまで理解できるのか、自分だったらわからないんじゃないかというのがあるので、ちょっと思った次第。
人様を同じように考えんなって?

転換の目まぐるしさの影に演出の功あり。L字型の建具を並べたり回転させたりして瞬時に場面が変わる。例えば片面が金屏風で片面が塀、障子にしてあるものは観音や左右に開いて扉代わりに。おかげで出が両袖だけじゃなく自在でおもしろい。
2階席なので、舞台のバミリが見えるが、めちゃいっぱい。
夏で世話物のせいか、ちょっと衣装がちゃっちい印象で、それが前回観た『仮名手本忠臣蔵』と大きなギャップ。

圓朝本人がナレーションと解説で登場するのはお芝居と同じ。この圓朝役の人が馬方と二役なのも同じ。ついでにツケ打ちもなさる。噺家さんぽいしゃべり方で圓朝の雰囲気はばっちり。
海音如来を掘り出した伴蔵が御用になるシーンは、サイレンとサーチライトのようなスポットのせいか、ルパン三世のOPを髣髴とさせる。また伴蔵役の人がね、カッコいいんだわ。二枚目ってんじゃなくて、芝居が。バリバリ世話でイナセ。
カッコいいといえば、お露の父親にあたる飯島平左衛門も実はカッコいい役。くだんの孝助の主でもあり、親の仇でもある。設定だけでもまいっちんぐだぜ。


ちなみに次回公演は泉鏡花の「夜叉ヶ池」だとか。うう、人をハメようとしているとしか思えん。
歌舞伎ネタでなければ観る気はないのだが、鏡花とくりゃ、てか歌舞伎でもやってるし。こうも観たやつ観たやつ打って出られるたぁ。
あーーっ、でも絶対花組にはハマんないからねーっっ。


おまけ
終演後の物販コーナーにて、威勢のいい売り子さん。見ればリリパのわかぎさんと野田さんと千田さん、美津乃さんまで。
 

9/19南湖だんご 第41回

 投稿者:まゆ  投稿日:2008年 9月27日(土)03時06分40秒
  お正月以来、久々の「南湖だんご」、今日こそは安兵衛が高田馬場に駆けつけるハズ、ということで。
客席がかなり寂しいが、見かけない顔が多いから新規開拓できているということかな?てか、常連さんカムバック(人のことは云えんが)。

師匠の思い出話をメインに長い長い枕を経て、先日収録した「平成紅梅亭」でかけたという『さやま遊園』。
むっちゃ久し振りに聴く。取り立てて面白い話でもないが、なんやかんやと生き残こっているネタ。最後がひまわりじゃなくコスモスになっていたけど、ここのくだりはほのぼのとしてて好きだな。

もひとつ久しぶりのおたのしみ、ガニラ。
何でも酒井七馬さんのご遺族と連絡が取れたのでそのための限定再演だとか。海に投げ出された三人に襲いかかるガニラ、自衛隊のヘリコプターに救出されたのもつかの間、ヘリコプターが故障してふらふら低空飛行するところへ執拗に追いかけてくるガニラ!果たして彼らの運命は!じゃん。
南湖さんいわく「ここらが最大の山場」、いやいや、アレが待ってますってば(笑)。てことで3本ぶんだけ。ちょっと駆け足気味なので、もう少し南湖テイストを入れてほしい。

さて、本日のメインはやぁぁぁっと山場中の山場「高田馬場十八人斬り」。
話の流れは三谷幸喜の「決闘!高田馬場」を髣髴とさせ、おかげで糊屋のオバンが萬次郎さんに思える。またいいとこで切られるんじゃなかろうかという不安を他所に、ちゃんと仇討ちをし遂せて、堀部弥兵衛老人に惚れられる後日譚まで。
ただ、安兵衛が駆けつけて最後中津川を倒すまでがややあっさりしすぎで、物足りなさが。「当たるを幸い、バッタバッタと斬り倒す」だけじゃね。中津川があまり強く見えないのも物足りなさの原因かな?
次回で完結か、まだ続くのか、乞うご期待。

最後は、今夏あまりやっていないからということで怪談。
南湖さんの声が高いせいか、小夜衣の断末魔の恨みの科白がハマってて怖い。照明を落とされるんじゃないかドキドキしてたけど、それはなく。さすがに一番こなれてて聴きやすかった。

『さやま遊園』 旭堂 南湖
紙芝居「原子怪獣ガニラ」 旭堂 南湖
『赤穂義士伝銘々伝より〜堀部安兵衛 高田馬場十八人斬り』 旭堂 南湖
『小夜衣草子〜蛤の吸い物』 旭堂 南湖
 

9/7桂 宗助 独演会 第7回

 投稿者:まゆ  投稿日:2008年 9月 9日(火)02時03分21秒
  今年から指定席、早々に買ったので最前列。目線の先ではないけれど、視界に障害物がないのでストレスフリー。
入口の進行表では、15、20、20、45、中入、30とある。中入があるとはいえ、『百年目』『住吉駕篭』ってボリューム多すぎないかしら?

1席目は子ダヌキが可愛い『狸の賽』。実際に狸がしゃべることはないから結局は想像なんだけど、ちゃんと丁稚や人間の子どもじゃなくて、子ダヌキに見えるんか不思議。
そうだ、狸自体は出てこんけど狸つながりで『まめだ』やってくれへんかなぁ。千朝さんあたりに習っていただいて。所望所望。

さて今年の中トリ大ネタは満を持しての『百年目』。2年位前の「L-magazin」落語特集でそろそろ『百年目』をとおっしゃっていたので、いつかいつかと待っていたのだ。
「独演会」「ネタ下ろし」「大ネタ」、そして『百年目』にありがちな気負いや緊張感が感じられず、聴く方に『百年目』を聴くぞーっという構えをさせない雰囲気で始まる。
冒頭の小言を言う番頭は旦那のような威厳、表に出てからも多少砕けつつどこかの主さんにみえる風格。親旦さんと顔を合わしてからは一転、あれこれ悩む姿が滑稽で昼間の威厳はどこへやら。かといって下卑た感じはなく。
親旦さんは終始好々爺のようなご隠居のような雰囲気。番頭との違いがハッキリと出ており、キャラクター分けができている。かつ、丁稚との応対は旦那の威厳、帳簿を調べた云々は口調は変わらないのになんとなく違って聴こえたり。
一見冒頭の番頭の方が旦那らしくみえるのだけど、旦那は旦那、番頭は番頭、他の人は他の人。
まあ、贔屓耳かもしれないけど、ちゃあんとキャラが確立されている。それぞれの場面も上手く転換されて、風景が浮かぶようでした。
女性が出てくるから一見、『立ち切れ線香』が合ってそうな気がするけど、『百年目』の方が宗助さんのニンというかスキルに合っているように思う。若旦那より番頭や旦那なのね(笑)。
どんどんと云うわけにはいかないだろうケド、やりこんでもっとええ『百年目』にしてほしいと思う。

楽しい楽しい休憩の後は『住吉駕篭』。『百年目』の後、最後の最後でシンドかったらやだなと、多少気にしつつ。
ところが、これも何度か聴いている宗助さんの中で一番よかったのではと思えるおもしろさ。酔っ払いの繰り返しが2回目で少し端折り、3回目駕篭屋の科白も多少端折りで変化があり、かつ繰り返しの妙味は失われていない。んで、最後の蜘蛛駕篭まで、でも長く感じなかった。
よかったよかったばっかり云うのもアレやけど、ホンマによかった。


さん都さんは枕なしでお得意の『みかん屋』。紙を取りに行くくだり、デカイ声で「便所で紙を落としなはった大将のウチはどこでっかーっ」「奥から三軒めー」が可笑しかった。テンポよく、あほではないけどスカタンなみかん屋。

しん吉さんは季節はずれの『初天神』。とらちゃんが向かいに行くくだりはなく、お母さんと同じこと云わせておませぶりを発揮。天神さんでのくだりも含め、あまりこどもこどもしていなかったけど、悪ガキぶりが面白かった。

まったく長さを感じさせない、さん都さんしん吉さん含めて大笑いしまくりの、あっちゅう間のええ会でした。もうすぐ入門20年目、やはり節目ってちゃうんかなぁ?
最近くさくさしていることもあって、なーんも考えずに素直に大笑いできて楽しかった。
これがこごろうさんの云う「あほの状態」?

『みかん屋』 桂 さん都
『狸の賽』 桂 宗助
『初天神』 桂 しん吉
『百年目』 桂 宗助
『住吉駕篭』 桂 宗助
 

8/31雀三郎 出丸二人会 第3回

 投稿者:まゆ  投稿日:2008年 9月 6日(土)15時38分18秒
  雀太さん休演により、雀五郎さんは先日と同じ『黄金の大黒』。お気楽な長屋の連中をテンポよく陽気にやってて、笑いもたくさん。ええ始まり。

客の反応で出丸さんの年齢と見た目にそろそろギャップがなくなってきたことがわかり、「こうみえて」枕の封印宣言。頼りになるならないの話から『餅屋問答』。
般若湯などのやり取りや大和尚の持ち物の問答などところどころ端折ってあり、いよいよ旅の僧が尋ねてくるところからたっぷり。欄間の天女がとかのくだり、出丸さん以外ではあまり聴かないように思う。こことか問答とかかなり早口で、それだけで笑える。全体的にテンポも良くておもしろかった。

前回のこの会以来ではないかな?雀三郎さん。枕からどっかんどっかん。ナナメ前にいたオネーサンはそれまでデカイ笑い声の人を気にしてばっかりいたのに、大笑いしている。本編は本編でこれまた。。。。。
植木屋さんの「植木屋さん植木屋さん」のとこなんて、「ワサビは食べたらあかんで」とかいちいち可笑しいし、押入れのお咲さんもすさまじかったぁ。
時間的に前半と後半のウェイトが同じくらいで、前2席の流れで乗ってはる感じで濃いめやけど、やりすぎないところはさすがベテランの人やなという気がする。

出丸さんの『高津の富』が中トリ。これも前半ホラ吹きのおやっさんのところはやや軽く、まっちゃん晴舞台。
宿屋の主人の当たったもスグに「どこが違うねん」と気がついて、何度か確かめて「あたあたあた、、、、」。ここで同じことをくり返されるのはうっとおしいので、こーいうんがいい。『餅屋問答』もそうだが、やはり緩急ついた流れは聴いていてスッキリする。

雀三郎さんと『皿屋敷』、なにやら珍しい組み合わせのようだけど、そうでもないのかな?ドス効かせまくりのおやっさんがいい。浄瑠璃やってはるからか、意外や雀三郎さんは幽霊声が似合う。
お菊さん最近えらいくそなったな、でお菊さん義太夫ばりの科白回しが可笑しい。加えて雀三郎さんがばっさーと髪の毛かき上げるシグサしはるんがめちゃ可笑しい。他の人だって髪が長いわけじゃないけど、なぜか雀三郎さんだからこそ笑えるシグサ。

出丸さん曰くチケットが40何枚しか売れてないとお嘆きであったが、フタを開けてみるとやっぱりほぼ満員大盛況。当日がよく出たらしいが、ふらっと行ってふらっと入れる、これこそ寄席の理想ではないかいなと思う。
次は2月。

『黄金の大黒』 桂 雀五郎
『餅屋問答』 桂 出丸
『青菜』 桂 雀三郎
『高津の富』 桂 出丸
『皿屋敷』 桂 雀三郎
 

「ガラスの仮面」

 投稿者:まゆ  投稿日:2008年 9月 6日(土)15時35分7秒
  少女漫画不朽の名作『ガラスの仮面』、何年か前劇中劇「紅天女」を能で再現した作品があったが観に行けなかった。
今回のは、蜷川幸雄演出による音楽劇とな。ミュージカルほどではないけど歌うシーンがあるという。
前売発売の折、買うかどうか悩んだ末に買わなかった。が、「かもめ」を観に来た際、同じBRAVA上演ということで売っていたのだ。けっきょく買っちゃった。


開演前から幕はオープンで、エキストラの若者が思い思いに柔軟やら何やらをしている。そして開演とともにコの字に並べたレッスンバーで練習を始める。
一番前でバーを使っている女の子2人が上手くて、やっぱ上手い子は目立つように前に配置されるんだなと思いながら観ていた。そしたらそのうちの1人は姫川亜弓役の人だった。上手いはずや。

オープニングやエンディングで原作原画のパネルを上手から下手、下手から上手へと動かして見せる演出。懐かしい初期の絵や最近の絵、マヤに亜弓さんに姫川歌子に月影先生に紅天女。
は、反則や〜。たった数枚のイラストで長い間読んでいない原作が頭にフラッシュバック、何もかもが甦る。パンフレットの言葉によると、この演出は賭けだったそうだ。原作のイメージをダイレクトにぶつけて吉と出るか凶と出るか。
悔しいけど、吉、だ。
イメージどおりか否か関係なく、原作そのものを思い出させ、ここはあのシーン、あの科白、ここは違う、そういった答え合わせの作業をすることで、より芝居に入り込ませることに成功している。
根本的なところが拙ければそんな作業も上手くいくはずがなく、実際、役者陣が見た目もキャラ的にも原作にソックリで、それなりに上手い人たちだったから成立したんだと思うけど。

物語はマヤが月影先生のところへ出前を持っていくところから、コンクールの本選で負けて零落するまで。
演出の功もあるけど、何といっても脚本。カッティングの仕方がよかった。どこをやってどこを削るか、時にはオリジナルを交えて。原作者が口を出したのもあるだろうけど、多少のハテナを含みつつもほぼ原作のストーリーを壊すことなく辻褄も合わせた構成はすごい。

ところどころが現代仕様で、マヤのバイト先がコンビニであったり、4つの言葉で応対するエチュードがレコードでなくCDだったり。みんなはともかく、マヤが携帯を持っているのはちょと違和感。マヤのお母さんは住込店員じゃなくて経営者、それほど貧乏ではない設定。
あと、マヤが観た芝居は「椿姫」じゃなくて亜弓さんと桜小路くんの「ロミオとジュリエット」だったり(懸賞で当たったんだって)、お母さんがマヤを連れ戻すシーンでは熱湯事件がなかったり(あたりまえか)、「たけくらべ」稽古では蔵に入れられなかったり。まあ、お芝居なんでその辺はかまへんのだ、それよりそーいうのを全部覚えている自分にビックリなのだ。


雨は降らしすぎ。「若草物語」の役作りのところくらいでよかったんでは。劇団一角獣がパンク集団みたいでキャラが変わってしまっているのはどうかなぁ。
それと唯一、真澄さん役の人が外見イメージにそぐわないので不満。特にスチール写真はアップだから雰囲気似てないのが気になってたのだ。もっとシュッとした感じの人がよかったな。

笑ったのは「若草物語」の劇中劇。セットに車がついていて、部屋の中と外との場転では黒子の格好をした人が半円を描くように動かしていく。盆のない劇場で盆回し効果の場転はこうやるのかぁ(笑)。
おなじく「若草物語」の舞台で、ベスがうなされながら「野ばら」を歌い、頭部がだらりとベッドから落ちる姿がそのまま再現されてて、うおっ原作のカットそのまんまやん!すげっ。
カーテンコールでセンターに夏木マリ、その両横にマヤと亜弓さん。当然の並びなんだけど、「二人の女王」のカーテンコールを髣髴とさせ、一人にやり。

最後まで、そんなんですわ。
 

「SISTERS」

 投稿者:まゆ  投稿日:2008年 9月 6日(土)15時33分1秒
  松たか子と吉田鋼太郎が出ているのでチケットを買ったものの、長塚圭史ってあんまし興味ないねんなぁ、しもたかなぁ。でも英国留学前最後の作品、とか書かれたらなんとなく行っとかなという気になるのだ。
ってミーハーか。

設定およびストーリーはかんなりヘヴィ。もうむちゃくちゃヘヴィ。冒頭から重苦しい空気が流れる。
正直いって脚本はイマイチ、というか好みでない。ストーリーじゃなくて、選ぶ言葉、科白の運びが陳腐。
でも演出は、スゴイ。舞台の使い方はもうただただ感心。1つの部屋で、いくつもの部屋を再現する。どこでもドアの原理か。

やっぱ松たか子はキチガイの役が上手い。春風のような微笑の影にうつる狂気が、なんでもない表情のようで、そのくせ怖い。
鈴木杏は、もひとつ。一見、無邪気で激情的なキャラクターを表現しているようで、ただギャンギャン怒鳴り散らしているだけのようにも見え。いかり肩な上に衣装が似合ってなくて可哀想やったけど、女子高生姿は可愛かった(←おっさん)。
シェイクスピアでもギリシャ悲劇でもない吉田鋼太郎は初めて観るかも。見た目というか記号として最後まで普通の大人なので(少なくともそう見える)、設定的には一種の異常性欲者もしくは精神異常者ということになるんだろうけど、そんな風にも見えず。
最後まで親子にしかみえなかった二人だけど、ラスト、水浸しの舞台に横たわるところはロミオとジュリエットの心中の如く(お初徳兵衛といきたいところだけどそこはそれ、雰囲気で)。
松さんの旦那だけはまともそうにみえたけど、やっぱそうでもなかった。
けっきょく、登場人物誰一人として正気な人間がいなかった(笑)。

特異なシチュエーションと美術に目くらましを喰らったようにも思えるが、でも才能ある人なんだろうなとも思う。


今回、パンフレットがまだ最終日でもないのに既に完売していて買えなかった。座席数のマックスはわかるんだから、何割減としても大体部数くらいわかるでしょお。印刷代ケチってんじゃねぇっ。それとも何冊も買う人が多かったのか?
 

「十三代目片岡仁左衛門」

 投稿者:まゆ  投稿日:2008年 9月 3日(水)13時26分18秒
  十三代目片岡仁左衛門(当代のお父さん)の晩年の7年間を追った記録映画である。全編10時間以上あるのを6部に分けて一挙上映。
予定さえなければ一日こもって全部観たかったけど、そうもいかず1部「若鮎の巻」、2部「人と芸の巻(上)」だけ鑑賞。

奇しくも先日観た「東京オリンピック」とは違い、まさしくホンマの記録映画。
なんのてらいもない、あるがままの姿、その時のその瞬間の記録。
「若鮎の巻」では大部屋役者さんの発表会の稽古風景で、嵯峨のご自宅で「一條大蔵譚」と「傾城反魂香(吃又)」を教える姿がみれる。合間にインタビュー。
厳しく真剣かつ丁寧に教える姿、一言一言にダメ出し、自ら動いてフリを直す。
下卑た云い方やけど、大幹部でおえらい人間国宝が下っ端も下っ端の人たちに、こんなにまで真摯に向き合うものなのかという驚き。芸の伝承、財産の共有、そのためになにものをも惜しまない。伝統に携わる人はみんなそうなんだろうけど、目の当たりにするとね、改めて思う。

ちなみに、千代丸時代のラブリンが出てるとチラシの解説にはあったけど、わからんかった。代わりに吃又のおとく役で美吉屋さん発見。ちなみに又平は當十郎さん(若いっ)。

「人と芸の巻(上)」では前半が「沼津」をハイライトで。十三代目が平作、当時孝夫の当代が十兵衛、秀太郎さんがお米。しっかり観ているわけではないのに、最後のシーンでは思わずほろり。
後半は復活狂言の稽古風景。当たり前だけど、今は亡き人がわんさか。山城屋も扇雀やし。
ただ歩く時は手を引かれてよぼよぼそろそろなのに、花道を通る時は体の衰えを感じさせない。


生で観れなかったのが残念だとは思わない。伝承芸能を追いかける限り、何年観てようがキャリアの浅さは痛感せざるを得ないから。
でももっと観たいと思う。映像でいいから。

てことで、NHKのアーカイブを切に希望する。
 

市川崑追悼特集「東京オリンピック」

 投稿者:まゆ  投稿日:2008年 9月 3日(水)13時24分20秒
  世間ではもっぱら北京オリンピックで賑わっているというのに、時をさかのぼって東京オリンピック。

冒頭のナレーションで第1回大会からこの18回大会までの開催国が紹介される。戦争で開催されなかったり、戦後すぐの大会では日本が参加させてもらえなかったとか。なのにそれから3回後にこうして自国で開催される運びとなった、しかも東洋では初という事実に、戦後復興の目覚しさを感じずにはいられない。

芸術か記録か。
そんな論争があったと聞く。
芸術ではないと思うけど、純粋な意味での記録でもない。東京オリンピックの記憶としての記録ではあるけれど、実態を留めるための資料としての記録ではない。
明らかに娯楽映画と化している。
ドキュメントだけど、ドキュメント故のドラマ性が実態記録としてはふさわしくないような映像処理や音楽によって、よりドラマティックに演出されている。
だいたい、
競技記録であれば、選手の来日風景や聖火リレーから開会式に30分以上もかけないだろうし、半分近くの時間を観客の映像に費やしたりはしないだろう。選手村の様子とか、マラソンでの落伍者のクローズアップとかもね(ちょと長すぎた)。

撮り直しの利かない何がおこるかもわからない、リアルドキュメント。撮影計画やコンテの緻密さは想像できないほどだろう。
顔のアップとピントずれの多様が目立つ。新体操のストップモーションとかやりすぎな感じもしたけど、いろいろな手法やアングルは実験的にも見え、興味深くはありました。
百数十人の人がカメラワークを行ったということだけど、コンテがあるとはいえ、どこを切っても崑テイストになってておもしろいなと思う。それを采配するのが総監督の手腕か。

最後の方はちょと息切れがしているようにも思えたが、
極上の素材で遊ぶ機会を与えられて、さぞカントクはご満悦であっただろう。
 

市川崑追悼特集「おとうと」

 投稿者:まゆ  投稿日:2008年 9月 3日(水)13時15分21秒
  2ヶ月にわたり全作品中8割を一挙上映という大胆な特集。九条のシネヌーヴォ。

岸恵子と川口浩が姉弟、森雅之と田中絹代が父と継母。
一人っ子だから兄弟の絆とかどこまで深くなれるものかわからないが、結核の弟と同じうどんを食べるのにまったく躊躇しない姉に兄弟ってこんなもんなんかなぁと。
まー、ここんちはちょと特殊な気もするけど。

岸恵子はとても17才にはみえないが、やっぱり美人。
日本人離れした高い鼻に大きな眼。清楚なようで意志の強そうな攻撃的な眼差し、根性あるし、へこたれへんし、乱暴な言葉遣いするし、弟と取っ組み合いのケンカするし、弟がなんじゃかんじゃと甘えるのもよくわかる。彼女がそんなんだから余計に自堕落なことするんだね、弟は。
川口浩は不良になりきれない中途半端さがイマイチ。その上情けない。

よく目にする田中絹代は何故かくたびれたお母さん役ばっかり。今回もそーとー。後妻に入って継子とうまくいかなくて、何かと愚痴ばっかりでつらくあたり、宗教に走る。
そんなお母さんの相談相手である岸田今日子がまた岸田今日子然としたキャラでええんだが、それはさておき、最初はただ自分勝手でわがままで自虐的で娘をこき使うイヤな継母の印象やったけど、最後はええ人に。
ええ人つーか、ホントは寂しい人やったのだ。
リューマチで手足の自由が利かなくて、ただでさえ自虐的なところへ難しい年頃の継子の扱いが上手くできなくて、その上なさぬ仲というシチュエーションがおそらく姉弟に血縁の結束を強くさせ、継母の入る余地がなくなったたんだろう。プラスあまり存在感がないとはいえお父さんも含めて3人で私をのけ者にして、みたいなね。そんで余計神にすがる。それに追撃ちをかけるのが岸田今日子(笑)。
その悪循環を断ち切るきっかけが弟の病気というんは皮肉な結末。

母は継母で父親は頼りにならない、そうなりゃ姉ちゃんががんばるしかない、弟を守ってやれるのは自分だけ。この世でたった二人っきりの姉弟みたいな閉塞的な連帯感がより絆を深くするのか。
クライマックスで二人の手首を繋いだリボン、なんや恋人同士みたいにじゃらじゃらと、と思ったけど、あれはへその緒なんかなぁ。。。。姉ちゃんの献身的な精神を母性とするのは単純すぎる?


落馬した後の夕間暮れのシーン、逆光で移動すると真っ黒い影になり、また動くと色が刺すのがカッコよかった。血のような夕焼け色もこれからの姉弟を暗示しているようでドラマティック。
画面が全体的に郷愁を誘うようなトーンなのは家族を扱ったテーマだからだろうか。
 

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